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まえがきより本報告書は,昭和58年度に引続いて日本道路公団から日本トンネル技術協会に委託された「山岳トンネルの坑口部および坑内交差部の設計・施=忙関する研究」の結果をとりまとめたものである。研究は, 日本トンネル技術協会の常設委員会である施工技術委員会のもとに「坑口対策特別小委員会」が組織され,進められた。委託された研究テーマは,坑口部の問題と坑内交差部の問題の二つの内容から構成されているが,本報告書は坑内交差部の検討の結果をとりまとめたものである。立坑,電気集塵機室あるいは地下換気所と本坑の取付けの際に生ずる坑内交差部は,できるだけ問題をさけるための地山条件の良好なところを選んで計画されているのが現状である。しかし,今後は条件が良好でないところにも設けざるを得ない場合が生ずるものと考えられ,その際に生ずる問題点を予測し,設計・施工上の対応策を検討しておくことが必要である。本研究では,既往の事例および資料を調査するとともに基礎的な実験な行ない交差部の設計・施工法の基本的考え方をとりまとめるように努めた. しかし坑内交差部に関する知見は,実施例も少なく研究も緒についたばかりで限られたものであり,本報告は,与えられた課題をさらに深く検討するための出発点として,位置付けられるべきものである。本委託研究では,坑口部と本坑交差部という二つの独立する重要で困難な課題が与えられ,検討が進められた訳であるが,委員,幹事,公団協力者並びに事務局の努力によって研究報告番としてとりまとめることができた。今後は, これを基に検討を深めることとなる。
第1章概説第2章トンネル交差部の力学的条件の検討
2.1 3次元光弾性実験による交差部の応力解析
2.2 交差部における緩み荷重(土圧)
2.3 交差部覆工の応力
2.4 施工事例における交差部の挙動
第3章交差部の設計・施工
3.1 交差部の設計
3.2 NATMによる設計・施工例(明神トンネル,藤白トンネル)
3.3 矢板工法による交差部の設計・施工例
(恵那山トンネル・中津川方, 恵那山トンネル・飯田方, 関越トンネル)